1. 今日の相談
「『来月なにか新しい企画を考えて』と言われたんです。任せてもらえたのは嬉しいんですけど、いざ考えようとすると何も浮かばなくて……白い企画書と3日にらめっこしています」
企画やアイデアの仕事は、文章づくりとは別のしんどさがあります。正解がない。ゼロから出さないといけない。しかも「面白いこと考えてよ」という期待つき。真面目な人ほど「ちゃんとしたアイデアを出さなきゃ」と力が入って、余計に何も出てこなくなる——。
このゼロの状態をなんとかしたい、というのが今日の相談です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。ひとつ、アイデアの秘密を教えたるわ。アイデアが出る人は「ええアイデアを1個出そう」とはしてへん。「しょうもないのも混みで、ようけ並べて選ぶ」んや。
そうなんです。アイデアの仕事は本当は2つに分かれています。数を並べる作業と、選ぶ作業。しんどいのは前半で、あなたの持ち味が出るのは後半です。
今日やるのは、前半の「数を並べる」をAIに任せること。10個のうち7個がいまいちでも大丈夫。3個の種が見つかれば、ゼロとは別世界です。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … アイデアを数で出してもらう相手。今日は「相談相手」というより「一緒にブレストしてくれる同僚」です。
会議室も付箋も要りません。ひとりでブレストができるのが、今日のやり方のいいところです。
4. 実際にやってみる
順番にいきましょか。
ステップ1:お題と条件を短く書き出す
「何の企画か」と「守りたい条件」を2〜3行で。条件(予算・時期・場所など)を先に伝えるのがコツです。条件がないと、実現できない案ばかり並びます。
ステップ2:ChatGPTに、このまま頼む
次のお題で、企画のアイデアを10個出してください。 それぞれ1〜2行の短い説明つきで。 定番の案から少し変わった案まで、幅を持たせてください。
【お題と条件】 (ここに、ステップ1で書いたお題と条件を貼り付ける)
10個並んだら、遠慮なくおかわりを。「もっと変わった案を」「お金のかからない案に寄せて」と方向を変えて、もう10個。数を出すのはAIなので、何回頼んでも疲れません。
ステップ3:気に入った1つを選んで、深掘りする
並んだ中から「これ、ちょっとええかも」を選びます。ピンとくる基準は理屈じゃなくて大丈夫。選んだら、続けてこう頼みます。
3番の案を採用します。この企画の「ねらい」「準備すること」 「当日の流れ」を、簡単なたたき台にしてください。
これで、白紙だった企画書に最初のたたき台が入ります。
ほー先輩:AIの案をそのまま使わんでもええんやで。「7番と2番を混ぜたら面白いかも」——そう思えたら、それはもうあなたのアイデアや。
5. 完成例
実際にやってみると、こんなふうに変わります。(架空のお店の例です)
ビフォー(お題と条件)
・商店街の小さなパン屋の、来月の企画
・予算は少なめ。店の中でできること
・常連さん以外の新しいお客さんに来てほしい
アフター(ChatGPTが並べた10個・抜粋)
1. 朝限定「焼きたて3種の食べくらべセット」
2. パンの耳の無料つかみ取り(子ども向け)
3. 「今日の失敗作」ワゴン:形が不揃いのパンを正直に安く
4. 近所の写真を店に飾る「うちの町パン屋写真展」
5. 雨の日だけのシークレットパン
…(ほか5案)
3日ゼロだった企画が、5分で「3番と5番、混ぜたら面白いかも」まで進みました。あとは選んだ案を深掘りして、たたき台にするだけです。
6. 使ってみた感想
いちばん変わったのは、気持ちです。「出さなきゃ」と唸っていた3日間がうそみたいに、「選ぶだけ」の作業は軽い。アイデア出しがしんどかったのは、才能の問題ではなくて、ひとりで数を出そうとしていたからでした。
良かったのは、いまいちな案にも役目があること。「これは違うな」と思った瞬間、自分が何を求めているかが逆にはっきりします。
一方で、最後に選ぶ目と、実現できるかの判断は自分の仕事です。AIはあなたのお店の常連さんの顔までは知りません。「数はAI、選ぶのは自分」。この分担なら、企画の仕事はもっと楽しくなります。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- ゼロだった企画に、5分でアイデアの種が見つかった。
- 「条件を先に伝えて10個」という数の頼み方を覚えた。
- 「選んだ1つを深掘りしてたたき台に」という次の一手も身についた。
行事の企画にも、売り場の工夫にも、会議の議題にも、同じ型が使えます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:アイデアは、うんうん唸って絞り出すもんやのうて、ようけ並べて選ぶもんやで。今日は種が見つかったな。選んだ1つが動き出したら、また聞かせてな。楽しみにしとるわ。
やさしいAI仕事術