1. 今日の相談
「子どもたちを見送って、掃除して、さあ記録……となる頃には、もう文章を考える力が残ってないんです。メモは取ってあるんですけど、それを記録の文章にするのに毎日30分以上かかってしまって」
福祉の現場で働く方から、本当によく聞く相談です。日中は子どもたちに全力。活動の様子は走り書きでメモしてある。でも支援記録は「あとで誰が読んでも分かる文章」にしないといけない。疲れた頭で「客観的に、ですます調で、分かりやすく」を組み立てるのは、正直しんどい——。
一日のいちばん疲れた時間に、いちばん頭を使う仕事が残っている。ここをなんとかしたい、というのが今日の相談です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。記録でいちばん値打ちがあるのは「今日その子をちゃんと見てた」ことで、それはもうメモに入ってる。文章に整えるところは、AIに任せてええねん。
そうなんです。あなたの仕事の核心は「見ること」で、それはもう終わっています。残っているのは、走り書きを読める文章に変換する作業だけ。そこはAIの得意分野です。
ただし、現場の記録には個人情報が関わります。今日はそこを守るひと手間も、セットで覚えて帰ってください。ひと手間といっても、名前を置き換えるだけです。
3. 今日使うAI・道具
今日使う道具は2つです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 走り書きのメモを、支援記録の文章に整えてもらいます。
- スマホやPCの音声入力 … 手で打つ元気も残っていない日は、メモを見ながら話すだけで文字になります。なくても大丈夫です。
4. 実際にやってみる
順番にいきましょか。今日は「守るひと手間」が最初に入ります。
ステップ1:メモの名前を「Aさん」「Bさん」に置き換える
AIに貼る前に、子どもの名前をAさん・Bさんに置き換えます。職員の名前も同じように。実名や住所などの個人情報は、AIに渡さない。これが現場でAIを使うときの、いちばん大事なルールです。置き換えは自分の手で、貼る前にやります。
ステップ2:ChatGPTに、このまま頼む
次の指示文を貼り付けて、名前を置き換えたメモを続けて貼ります。
次のメモを、放課後等デイサービスの支援記録の文章に整えてください。 「活動の様子」「本人の様子」「支援した内容」の3つに分けて、ですます調で書いてください。 本人を否定するような表現は避け、事実を落ち着いた言葉で書いてください。 メモにない出来事は付け足さないでください。
(ここに、名前を置き換えたメモを貼り付ける)
「本人を否定する表現は避けて」と一言入れておくと、「〜できなかった」が「〜は次回の課題」というような、記録らしい落ち着いた言葉に整います。
ステップ3:事実を確認して、名前を戻す
返ってきた文章を読んで、出来事が実際と合っているかを確認します。ここは今日その子を見ていたあなたにしかできない仕事です。最後に、記録システムや用紙に書き写すときにAさんを実名に戻して完成です。
ほー先輩:AIは言葉を整えるのは上手やけど、今日のその子の様子は知らん。「合ってるか」を見るあなたの目が、記録の品質そのものやで。
5. 完成例
実際にやってみると、こんなふうに変わります。(架空の事業所・架空の子どもの例です)
ビフォー(走り書きのメモ・名前を置き換えたあと)
Aさん 宿題いやがる→10分休憩してからならOKやった
おやつのあと Bさんとブロック 途中とりあい
声かけで交代できた えらかった
帰りの会 手あげて発表できた
アフター(ChatGPTが整えた記録)
【活動の様子】
宿題の時間は取り組みたがらない様子が見られましたが、10分の休憩を挟む
ことで取り組むことができました。おやつの後はBさんとブロック遊びをして
過ごしました。
【本人の様子】
ブロック遊びの途中で取り合いになる場面がありましたが、職員の声かけで
交代して遊ぶことができました。帰りの会では自分から手を挙げて発表する
姿が見られました。
【支援した内容】
宿題の前に休憩を提案し、本人のペースで取り組めるようにしました。
ブロックの取り合いの場面では、順番に使うよう声かけを行いました。
走り書きが、そのまま提出できる記録になりました。あなたがやったのは、名前の置き換えと、事実の確認だけです。
6. 使ってみた感想
いちばんありがたかったのは、疲れた頭で「記録らしい言い回し」をひねり出さなくてよくなったことです。「〜する姿が見られました」のような表現は、AIのほうがすらすら出てきます。
良かった点はもう1つ。「否定表現を避けて」と頼んでおくと、読み返したときに、その子の一日が温かく残る記録になることです。保護者や他の職員が読んだときの印象も変わります。
一方で、名前の置き換えは面倒でも必ず。それから、AIがメモを少し「いい話」に膨らませていないかの確認は、毎回自分の目で。「言葉はAI、事実と子どもを守るのは自分」です。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- 帰る前の30分かかっていた支援記録が、5分で形になった。
- 「名前を置き換えてから貼る」という、個人情報を守る型を覚えた。
- 「活動の様子・本人の様子・支援した内容」に分ける頼み方が身についた。
明日からは、日中のメモが少し楽しみになるかもしれません。メモが良いほど、記録は速く仕上がります。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:一日よう働いたな。記録の文章まで頑張らんでええねん。今日その子を見てたんは、AIやなくてあなたや。それがいちばんの仕事や。早う帰って、ゆっくり休みや。
やさしいAI仕事術