1. 今日の相談
「毎月のシフト表づくりが、私の仕事の中でいちばん重いんです。みんなの休み希望を集めて、人数の足りない日がないように、同じ人に負担が偏らないように……気づいたら半日つぶれてます。しかも組み上がったあとに『この日、人足りてない!』が見つかったりして」
現場リーダーの方から、本当によく聞く相談です。シフトづくりの難しさは、パズルの難しさです。休み希望・必要人数・開店から閉店までの帯・連勤の上限——条件が多いほど、頭の中だけで組むのはしんどくなる。そして疲れた頭で組んだ表ほど、穴が出ます。
この「ゼロから組む半日」をなんとかしたい、というのが今日の相談です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。シフトづくりの仕事は、ほんまは2つに分かれてるねん。「条件を整理する」ことと「パズルを組む」こと。しんどいのはパズルのほうやろ? そこはAIの得意技や。
そうなんです。条件を知っているのはあなただけ。でも、条件を満たすように組み合わせる作業は、AIのほうが速くて、抜けがありません。
今日やるのは、条件を箇条書きにして、たたき台(初稿)をAIに組んでもらうこと。完成品ではなく、あくまでたたき台。最後の調整——「この2人は同じ日に入れたほうが安心」みたいな、人にしか分からない機微——は、いつも通りあなたの仕事です。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 条件を渡して、シフトのたたき台を表の形で組んでもらいます。
できあがったたたき台は、いつものExcelやシフト表の様式に貼り替えて使います。
4. 実際にやってみる
順番にいきましょか。今日も最初は「守るひと手間」からです。
ステップ1:スタッフの名前を記号に置き換える
シフトは名前だらけの表です。AIに渡す前に、スタッフ名をA・B・C…に置き換えた対応メモを手元に作ります(Aさん=実際は誰、というメモは自分の手元だけに)。勤務条件はそのまま書いてOK。名前さえ伏せれば、個人の特定にはつながりません。
ステップ2:条件を箇条書きにする
例えばこんな形です。
・期間:7/7(月)〜7/13(日)
・スタッフ:A、B、C、D、E の5人
・毎日必要な人数:早番2人・遅番2人
・休み希望:Aは7/9休み。Cは7/12午前まで
・Dは早番のみ可。Eは週3日まで
・連勤は最大5日まで
ステップ3:ChatGPTに、このまま頼む
次の条件で、1週間のシフト表のたたき台を作ってください。 表の形(縦にスタッフ・横に日付)で、早番/遅番/休みが一目で分かるようにしてください。 すべての条件を守ってください。守れない条件がある場合は、どこが無理だったかを正直に教えてください。
(ここに、ステップ2の条件を貼り付ける)
今日いちばんのコツは**「守れない条件があれば正直に教えて」**の一文です。人数が足りない週は、どう組んでも無理が出ます。AIに黙って辻褄を合わせさせるのではなく、「この日は人が足りません」と言わせる。そこが分かるだけでも、応援を頼む判断が早くなります。
ステップ4:たたき台を検品して、名前を戻す
返ってきた表を必ず自分の目で検品します。見るのは3点——①必要人数が毎日そろっているか ②休み希望が守られているか ③特定の人に負担が偏っていないか。パズルの正しさの最終責任は、表を配る人にあります。OKなら記号を実名に戻して、いつもの様式に貼り替えて完成です。
ほー先輩:AIのたたき台は「文句を言うための土台」やと思ったらええ。ゼロから組むのと、直すだけなのとでは、しんどさが全然ちゃうからな。
5. 完成例
実際にやってみると、こんなたたき台が返ってきます。(架空のスタッフ・架空の条件です)
7/7(月) 7/8(火) 7/9(水) 7/10(木) 7/11(金) 7/12(土) 7/13(日)
A 早番 遅番 休み 早番 遅番 早番 休み
B 遅番 早番 早番 休み 早番 遅番 遅番
C 早番 休み 遅番 遅番 早番 休み 早番
D 休み 早番 早番 早番 休み 早番 早番
E 遅番 遅番 休み 遅番 遅番 休み 休み
※すべての日で早番2人・遅番2人を確保しています。
※Aさんの7/9休み、Cさんの7/12休みを反映しています。
※Eさんは週3日以内に収めるため、7/9・7/12・7/13を休みにしています。
条件の反映理由まで書いてくれるので、検品も速い。ここから「BとCの土日を入れ替えよう」のような人間の調整をして、完成です。初稿ゼロからの半日が、15分の検品と調整になりました。
6. 使ってみた感想
いちばん効いたのは、「穴のチェック」を組みながら同時にやらなくてよくなったことです。頭の中だけで組んでいた頃は、人数の確認だけで何往復もしていました。たたき台があると、検品に集中できます。
良かったのはもう1つ。「守れない条件は正直に」と頼んでおくと、人が足りない日が組む前に分かること。無理なシフトを配ってから謝るより、先に応援を頼めるほうがずっと健全です。
一方で、最終調整は必ず人の目で。スタッフ同士の相性、新人にベテランをつける配慮、その週だけの事情——AIはそこを知りません。「パズルはAI、気配りは自分」。この分担で、シフトづくりはただの作業から、チームを整える仕事に戻ります。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- ゼロから半日かかっていたシフトの初稿が、15分のたたき台チェックになった。
- 「名前を記号にして条件だけ渡す」という安全な頼み方を覚えた。
- 「守れない条件は正直に言わせる」という、無理を早く見つけるコツが身についた。
条件の箇条書きは来月も使い回せます。2回目からは、もっと早くなります。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:シフトはただの表やない、みんなの生活や。せやからこそ、組む作業はAIに任せて、あなたは目配りに時間を使うたらええ。最後にあなたの目が入るから、ええ表になるんやで。今月もおつかれさん。
やさしいAI仕事術