1. 今日の相談
「職場で新しいツールを使うことになり、案内文を任されました。機能を説明すると長くなるし、『とにかく使ってください』では押しつけに見えそうです。何を最初に伝えればよいでしょうか」
新しい道具の案内で知りたいのは、機能の数よりも「自分が対象か」「何が変わるか」「最初に何をすればよいか」です。
今日は、確定している情報だけを使って、対象者・変わること・最初の一歩・確認先が見える社内案内を作ります。
2. 大丈夫です
ほー先輩:全部を一回で覚えてもらわんでええんやで。最初にすることが一つ分かったら、そこから試せるで。
導入案内は、ツールの宣伝文ではありません。使う人が準備できるように、決まったことと未決定のことを分けて伝える文です。
AIには説明の順番を整えてもらいますが、導入日・対象者・利用ルール・費用・問い合わせ先を勝手に作らせません。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTです。
導入前の資料には、社内URL・アカウント情報・契約内容・未公開の運用ルールが含まれることがあります。ChatGPTにはそれらを渡さず、社内案内の空の文型だけを作らせます。
パスワード、招待コード、個別のログインURL、社員名簿はAIへ入力しません。
4. 実際にやってみる
ステップ1:確定した情報と未決定を分ける
開始日、対象者、使う場面、最初の操作、確認先を書きます。決まっていないものは「調整中」「要確認」とします。
ステップ2:使う人にとって変わることを書く
「申請方法が紙からWebへ変わる」「最初の1週間は練習期間」のように、日々の仕事で変わる点を一つずつ書きます。
ステップ3:最初の一歩を一つに絞る
「案内日にログインを確認する」「説明会に参加する」など、最初にしてほしいことを一つ書きます。手順が多い場合は、詳しいマニュアルを別にします。
旧手順をいつまで使えるか、新旧どちらを正本にするかも確定情報へ加えます。切替期間がある場合は、同じ申請を紙とWebの両方へ重ねて出さないよう案内します。
ステップ4:AIへ空の文型を頼む
実際の導入情報を使わず、新しい業務ツールの社内案内の空の文型を作ってください。 「何が始まるか」「対象者」「変わること」「最初にすること」「困ったときの確認先」の順で、短く整理してください。 機能を大げさにほめたり、利用を強制するような表現は避けてください。 開始日、対象者、費用、機能、利用ルール、問い合わせ先、社内URLは書き込まず、空欄にしてください。
空の文型を承認された社内文書へ移し、確定情報と元資料を見ながら人が記入します。
5. 完成例
以下は架空の職場の例です。
AIへ渡すメモ
来月1日から申請ツールAを試験導入する。
対象はチームX。
備品申請が紙からWeb入力に変わる。
最初の2週間は試行期間。
初日に案内ページからログイン確認をしてほしい。
質問先は総務担当。受付時間は要確認。
AIが整えた下書き
件名:申請ツールAの試験導入について
来月1日から、チームXを対象に申請ツールAを試験導入します。
これまで紙で行っていた備品申請が、Web入力に変わります。
最初の2週間は試行期間です。初日に案内ページからログインできるかをご確認ください。
ご不明な点は総務担当へお知らせください。受付時間は要確認です。
入力にない機能や安全性は説明していません。未確定の受付時間も、勝手に埋めず「要確認」のまま残しています。
場面別の社内案内例(そのまま使えます)
[ ] の中を入れ替えてください。ツール導入の案内でいちばん嫌われるのは、「便利だから使って」だけの文です。読む人が知りたいのは「自分の手間が増えるのか減るのか」です。
① 試験導入(まず一部から始める)
件名:[ツール名]の試験導入について([日付]から)
[日付]から、[対象部署・チーム]を対象に[ツール名]を試験導入します。
【変わること】[今のやり方] → [新しいやり方]
【変わらないこと】[承認者・期限など、今までどおりの部分]
【試行期間】[日付]〜[日付]
【この期間中】[今までのやり方も使えます/新しい方法のみ]
【初日にお願いしたいこと】[ログイン確認など、5分で終わること]
【質問先】[窓口]([受付時間])
やりにくい点があれば、遠慮なくお知らせください。
本格導入するかは[日付]に判断します。
「やめる判断もある」と書くと、現場は安心して試せます。
② 本格導入(全員が対象)
[日付]から、[業務名]を[ツール名]で行います。
【対象】[誰が]
【変わること】[今まで] → [これから]
【いつまでに何をするか】
・[日付]までに:[アカウント登録など]
・[日付]から:[新しいやり方で運用開始]
【今までのやり方】[日付]で終了します
【困ったとき】[窓口]
操作方法は[資料の場所/説明会の日時]でご案内します。
③ 説明会・練習の場を案内する
[ツール名]の使い方について、下記のとおり説明の場を設けます。
【日時】[日付] [時刻]〜[時刻]([所要時間])
【場所/参加方法】[場所・URL]
【内容】[実際にやってみる操作]
【持ち物】[あれば]
参加が難しい方向けに、[録画/手順書]も[日付]までに用意します。
④ 一部の人だけ使う場合(全員に関係ないことを明示)
[日付]から、[対象業務]で[ツール名]を使います。
【対象になる方】[条件]
【対象にならない方】これまでどおりで変更はありません
対象かどうか分からない場合は[窓口]までお問い合わせください。
関係ない人に「自分もやるのか」と思わせないのが親切です。
⑤ 導入をやめる・戻すとき
[日付]から試行しておりました[ツール名]について、
[日付]をもって[利用を終了/従来のやり方へ戻す]ことといたします。
【理由】[試行で分かったこと。書ける範囲で]
【[日付]以降】[従来のやり方]で進めてください
【入力済みのデータ】[出力方法/移行の要否/[日付]まで閲覧可能]
ご協力いただきありがとうございました。
やめるときこそ丁寧に案内します。データの扱いを書かないと、記録が消えます。
⑥ 短い掲示・チャット用
【[日付]から】[業務名]が[ツール名]に変わります
対象:[誰]
やること:[日付]までに[何]
質問:[窓口]
詳しくは[資料の場所]
ツール導入の案内に書かないほうがよいこと
- 「便利になります」だけ— 誰の何が楽になるのかを、具体的に1つ書きます
- 機能の全部を説明— 今回使う操作だけで足ります。全機能の説明は読まれません
- セキュリティや安全性の断定— 提供元の公式情報と社内の確認結果に基づいて書きます
- できない人への配慮がない— 端末やアカウントの都合で使えない人がいます。代替手段か窓口を示します
- やめる選択肢に触れない— 試行なら「本格導入しない場合もある」と書くほうが、率直に意見が集まります
- 質問先がない— 個人へ質問が集中するか、間違ったやり方が定着します
6. 使うときの注意
社内案内を公開する前に、導入責任者・情報システム担当・総務など、職場で決められた確認先に見てもらいます。AIの下書きだけで利用ルールや安全性を確定しません。
また、使いにくさや不安を伝える窓口も案内します。「分からない人は自己責任」にせず、試行期間や問い合わせ方法を示すと、押しつけ感を減らせます。
招待メールを送る前に、対象者・権限・退職者や異動者の除外を確認します。共用端末、支援機能、研修時間などが必要な人へ、同じ開始日だけを押しつけないよう準備します。
試行を終える条件、正式導入を決める人、使わない場合のアカウント停止・データ移行も先に整理します。案内文だけで利用規約への同意や権限付与を済ませた扱いにはしません。
詳しい操作を手順書にしたい場合は、作業のやり方を手順書にまとめる方法へ進めます。ツールに限らない職場の運用変更は、社内ルール変更の案内で、開始日・対象者・変わることを整理できます。
7. 今日できたこと
- 機能一覧ではなく、使う人に必要な情報を先に書けた。
- 未決定の内容をAIに作らせず、「要確認」で残せた。
- 最初の一歩と、困ったときの確認先を案内できた。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:新しい道具は、分からんことがあって当たり前や。最初の一歩と質問先が見えたら、みんなで試しやすうなるで。
やさしいAI仕事術