1. 今日の相談
「研修や会議のあとに、振り返りとか感想を出さなあかんのですけど、それが毎回書けなくて。『大変勉強になりました』『今後の業務に活かしたいと思います』——書けるのは、これくらい。ちゃんと聞いてたし、なるほどと思ったこともあったんです。でも、それを自分の言葉にしようとすると、ありきたりな文しか出てこなくて。これでちゃんと振り返れてるんかな、って」
これ、とてもよく聞く相談です。振り返りや感想が「勉強になりました」で止まるのは、あなたが真剣に参加した証拠でもある。でも、心のどこかで動いたものを、言葉にする途中で、つい無難な表現に落ち着いてしまう。そして、毎回同じような感想文になってしまう。
この「ありきたりな感想ではなく、自分の気づきを振り返りにする」ところを、なんとかしたい——というのが今日の相談です。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。振り返りに、上手な言葉はいらん。要るのは、たった2つや。「いちばん心に残ったこと」を1つと、「明日から何を試すか」を1つ。この2つがあったら、それはもう立派な振り返りや。無難な感想文より、なんぼもええで。
そうなんです。良い振り返りは、研修の内容をきれいにまとめること(それはまとめで、また別の話)ではありません。あなたが何を感じ、これからどうするか——ここが主役です。
今日は、AIには架空例から空の振り返り型だけを作ってもらい、実際に心に残ったことと、これから試すことは承認された文書へ自分で書きます。研修・会議の実内容や本人の気づきをAIへ渡しません。主役は、あなたの気づきです。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 実際の研修・会議とは関係のない架空例から、「心に残った事実」「自分の気づき」「次に小さく試すこと」「まだ分からないこと」の空の型を作ってもらいます。
- 職場で承認された提出文書 … 実際の気づきと次の一歩を、自分で記入します。
実際の配布資料、発言、参加者、案件、評価、感情のメモは、固有名詞を置き換えても一般向けAIへ渡しません。
4. 実際にやってみる
そのまま真似できる手順です。いきましょか。
ステップ1:架空例で空の振り返り型を作る
実際の研修や会議とは関係のない架空例だけを使います。
研修・会議の振り返りを人が書くための、空のひな形を作ってください。 「印象に残った事実」「自分の気づき」「仕事で小さく試すこと」「まだ分からないこと」に分け、担当者が後から記入できる空欄を置いてください。 実際の研修内容、発言、感情、効果、評価、行動は作らないでください。
架空例:説明を聞いて、次回までに一つだけ試す場面
ステップ2:実際の気づきを、自分で二つだけ書く
空の型を職場で承認された提出文書へ移します。うまく書こうとせず、いちばん心に残った事実とこれから小さく試すことを一つずつ、自分で書きます。配布資料や正式記録を確認し、他の参加者の発言や感情を推測しません。
ステップ3:自分の言葉で読み直し、実感に合わせる
書いた文章を声に出して、自分の実感に合っているかを確認します。感想は、あなたのものです。「なりたいです」を「なってみます」に変えるだけでも、ぐっと自分の言葉になります。AIは空の型まで、気づきと言葉は自分です。
ほー先輩:AIが出すのは、あくまで下書きや。そこにあなたの言葉を一滴たらすだけで、借りもんの感想が、自分の振り返りになる。その一滴が、いちばん大事やねんで。
5. 完成例
実際にやってみると、こんなふうに変わります。(架空の研修の例です)
ビフォー(心に残ったことのメモ)
・「待つことも支援」という言葉が心に残った
・つい先回りして声をかけてしまっていた
・明日から、5秒待ってから声をかけてみる
アフター(空の型へ本人が書いた振り返り例)
今回の研修で、いちばん心に残ったのは「待つことも支援」という言葉でした。
私はこれまで、よかれと思って、つい先回りに声をかけていたのだと、
あらためて気づかされました。
明日からは、すぐに声をかけるのではなく、まず5秒だけ待ってみます。
その子自身が動き出す時間を、少しずつ待てるようになりたいです。
空の型へ、研修内容のまとめではなく「自分の気づき」を書けました。実際に感じたことと、自分で決めた次の一歩だけを残します。
研修レポートの書き出し例(そのまま使えます)
いちばん手が止まるのは最初の一行です。[ ] の中を、自分が実際に感じたことに入れ替えてください。研修の要約は書かず、自分に起きた変化だけを書きます。
① 気づきから書き出す(いちばん書きやすい形)
今回の研修で、いちばん心に残ったのは「[心に残った言葉]」という言葉でした。
私はこれまで[それまでの自分のやり方]をしていましたが、
[どう受け取ったか]と気づかされました。
明日からは、[具体的にやってみること]をしてみます。
② やり方が変わったことから書き出す
[研修名]を受けて、[業務名]の進め方を見直したいと思いました。
これまでは[今までのやり方]でしたが、研修で[学んだ考え方]を知り、
[なぜそう思ったか]と感じました。
まずは[小さく始められること]から試します。
③ 難しいと感じたことから書き出す
[研修名]の中で、[難しいと感じた内容]は、正直まだ自分の中で整理しきれていません。
[どこが分からなかったか]が、今の課題だと感じています。
[誰に聞く/何を調べる]で確認したうえで、[いつ]までに自分の言葉にしたいと思います。
分からなかったことを書いても問題ありません。その後どうするかが書いてあれば、前向きな振り返りになります。
④ 現場で使える形にして書き出す
[研修名]で扱われた[手法・考え方]は、[自分の担当業務]でそのまま使えると感じました。
特に[具体的な場面]では、[どう活かすか]ができそうです。
[いつ]から試し、[どうなったか]を[誰]と共有します。
⑤ 所感を短くまとめる(末尾用)
研修全体を通して、[一番の学び]を持ち帰ることができました。
[明日からの一歩]を続けて、[どうなりたいか]につなげていきます。
研修レポートに書かないほうがよいこと
- 研修内容の要約だけ— 資料に書いてあることを写しても、読む人には新しい情報がありません
- 「大変勉強になりました」で終える— どこが、なぜかを一行足すだけで、まったく違う文になります
- 参加者や講師への評価(「話が長かった」)— 感想文であって評価表ではありません
- 職場の個別事例をそのまま書く— 利用者・お客様・同僚が特定できる内容は、提出先が社外の場合はとくに書きません
- できていないことの謝罪— 振り返りは反省文ではありません。次にやることを書けば十分です
研修の内容そのものを職場へ共有する場合は、研修資料の要約の仕方が使えます。
6. 自分の振り返りにするために
「心に残ったこと」と「これから試すこと」を一つずつ置くと、研修内容のまとめだけで終わらず、自分の学びへつなげやすくなります。
受講していない内容、感じていないこと、実行すると決めていない行動を足しません。下書きが立派すぎると感じたら、普段使う言葉へ戻し、実際に話せる一文だけを残します。
何が心に残ったかを決めるのは本人です。提出前に読み上げて、自分の考えと違う箇所がないか確認します。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- 研修の振り返りを、内容のまとめではなく「自分の気づき」で書けた。
- 「心に残ったこと1つ+これから試すこと1つ」という振り返りの型を覚えた。
- 実際の研修内容や気づきをAIへ渡さず、自分の言葉で書けた。
次の研修や会議のあとも、この2つのメモから、落ち着いて振り返れます。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:研修で何が語られたかは、資料を見たら分かる。けど、あなたが何を感じて、明日どうするかは、あなたにしか書けへん。そこが振り返りのいちばんの値打ちやねん。上手な言葉やのうてええ。正直な気づきを一つ、明日の一歩を一つ。それが書けたら、今日の学びはもう、あなたのもんや。よう振り返ったな。
やさしいAI仕事術