1. 今日の相談
「社内チャットで相談していたら、返信が何十件にもなりました。途中で案が変わったり、別の話が入ったりして、結局どこまで決まったのか分かりません。最初から読み返しても、次に誰が何をするのか見失ってしまって……」
短い相談のつもりが、チャットでは話が枝分かれしやすいものです。発言が時系列に並ぶので、決まったことと途中で出ただけの案が同じ重さに見えてしまいます。
今日は、必要な発言だけを使って「決定・未決定・担当候補」に分ける方法を試します。
2. 大丈夫です
ほー先輩:長いチャットを、頭の中だけで全部覚えようとせんでええ。決まったことと、まだのことを別の箱に置いたら、ずっと見やすうなるで。
AIに最終判断を任せる必要はありません。AIの役目は、書かれている発言を仮に仕分けるところまでです。
誰の発言を正式な決定とするか、担当が本当に決まったかは、職場のルールや責任者の確認が必要です。だから完成品ではなく、確認しやすい下書きを作ると考えます。
3. 今日使うAI・道具
使うのはChatGPTです。
社内チャットには、名前・会社名・取引先・金額だけでなく、非公開の判断、契約条件、人事情報、添付ファイルへのリンクなどが混ざります。名前を「Aさん」、案件名を「企画X」に変えても、日時や出来事の組み合わせから内容を推測できることがあります。
職場で承認されたAI環境でも、そのチャットを入力する用途まで許可されているかを確認します。分からないときは実際のチャットを入力せず、架空の会話で整理の型だけを作ります。実際の決定事項は、元のチャットを人が読み、正式な議事録やタスク管理へ移します。
4. 実際にやってみる
ステップ1:正式な記録と扱い方を確認する
決定事項を残す場所、承認できる人、保存すべき証跡を職場のルールで確認します。人事、法務、契約、事故、情報セキュリティに関わる会話は、AIへ移さず担当窓口へ戻します。
ステップ2:整理したい話題を1つに絞る
「来月の説明会」「新しい備品」など、1つの話題だけを選びます。別の話題は混ぜません。
ステップ3:元のチャットを人が読み、確認候補を作る
実際のチャットはAIへ移さず、決定に見える発言・候補・未決定・担当・期限を人が拾います。反応の絵文字や「了解です」だけで承認と決めず、何への合意かが文章で分かる箇所を確認します。
ステップ4:架空の会話で整理の型を作る
次の架空のチャットメモを、確認用の型として整理してください。 「決まったこと」「まだ決まっていないこと」「担当・期限として書かれていること」の3つに分けてください。 書かれていない結論、担当、期限、理由は推測して付け足さないでください。 決定かどうか判断できない内容は「要確認」に残してください。
【架空の練習用チャット】 (実在の人物・会社・案件・日時・金額・URLを含めずに書く)
ステップ5:元のチャットと1行ずつ照らす
AIが作ったのは欄と並び順の見本です。その型へ実際の内容をAIの外で記入し、元の発言に同じ内容があるか、決定権のある人にも確かめます。担当や期限が確認できないときは、「要確認」のまま残します。
スタンプや「了解です」だけを承認と決めつけず、何への合意かが文章で分かる発言を確認します。後の発言で候補が変わっている場合は、古い案を決定事項へ残しません。
確認後は、決定事項・担当・期限を職場の正式な議事録やタスク管理へ移し、チャット要約を正本にしません。変更が出たときに、どの記録を直すかも決めます。
5. 完成例
以下は架空の社内チャットです。
AIへ渡すメモ
Aさん:説明会はオンライン開催でどうでしょう。
Bさん:オンラインで進めましょう。候補日は15日か17日です。
Aさん:案内文は私が下書きします。期限はまだ相談していません。
Cさん:申込フォームを誰が作るか決めたいです。
AIが整理した下書き
【決まったこと】
・説明会はオンラインで進める
【まだ決まっていないこと】
・開催日(15日または17日)
・申込フォームの担当
【担当・期限として書かれていること】
・案内文の下書き:Aさん
・案内文の期限:要確認
入力にない担当や期限は増えていません。「15日か17日」は候補なので、決定事項には入れていません。
場面別のまとめ方の例(そのまま使えます)
[ ] の中を、チャットに実際に書かれていた内容に入れ替えてください。書かれていないことは書かないのが唯一の原則です。
① 基本の形(チャットへ投稿し直す)
【[日付]までのまとめ】
■ 決まったこと
・[決定内容]
■ まだ決まっていないこと
・[論点](候補:[候補A]/[候補B])
■ 担当と期限
・[やること]:[担当者](期限:[日付]/未定)
■ 次に決めたいこと
・[論点]を[いつまで]に決めたいです
認識違いがあれば、この投稿に返信でお知らせください。
「返信で指摘してください」を添えます。間違いをその場で直せます。
② 話が長引いて止まっているとき
【[案件名]の現在地】
■ 合意できている点
・[内容]
■ 意見が分かれている点
・[論点]:[Aさんの意見] / [Bさんの意見]
■ 決めるために足りない情報
・[必要な確認事項]([誰]が[いつまでに]確認)
いったんここまでを整理しました。
[論点]は[日時]に短く話す場を設けたほうが早いかもしれません。
チャットで決まらないことは、決まりません。場を変える提案まで書くのが親切です。
③ 担当が決まっていないとき(名指しせず引き受けを募る)
■ 担当が未定のもの
・[やること]([いつまでに必要か])
お手が空いている方、または適任の方をご存じの方がいれば
お知らせいただけますか。[日付]までに決まらない場合は
[誰]から相談させてください。
④ 決まったことだけを別の場所へ渡す(議事録・台帳へ)
[日付] [案件名]
決定:[内容]
根拠:[日付]の[チャンネル名]での合意
担当:[担当者]
期限:[日付/未定]
未決定:[論点]
「根拠」を書きます。あとで「誰が決めたのか」を追えるようにするためです。
⑤ あとから決定が覆ったとき
【訂正】[日付]に「[前の内容]」とまとめましたが、
その後[日付]に[新しい内容]へ変更となりました。
【現在の決定】[新しい内容]
【変更の経緯】[チャットのどこで決まったか]
古いまとめを見ている方がいるかもしれませんので、共有します。
古いまとめを消さずに訂正します。消すと、どちらが正しいか分からなくなります。
⑥ 自分が参加していなかった会話をまとめるとき
【[チャンネル名]の[日付]分をまとめました】
※私は会話に参加していないため、読み取れた範囲でのまとめです。
意図が違う箇所があればご指摘ください。
■ 決まったと読み取れたこと
・[内容]
■ 判断がつかなかったこと
・[内容]
チャットのまとめで書かないほうがよいこと
- 書かれていない担当・期限— 「たぶんAさん」は書きません。「未定」と書きます
- 候補を決定として書く— 「15日か17日」は決定ではありません
- 発言者の評価— 誰が反対したかを目立たせると、次から意見が出なくなります
- 雑談まで全部— まとめは記録ではありません。決定と次の行動だけです
- まとめっぱなし— 「違ったら教えてください」を添えないと、間違いが確定してしまいます
- チャットの外へ丸ごと転記— 個人の発言や社内の検討過程は、渡す相手を選びます
6. 使うときの注意
チャットには、短い一文でも個人や案件を特定できる情報が含まれます。名前を記号に変えるだけでは十分とは限らないため、入力可否が確認できない実際の会話はAIへ渡しません。
また、AIの分類は正式な議事録や承認記録ではありません。正式な決定は、職場で決められた記録や責任者の確認を優先してください。
削除・編集された発言や、別のスレッドで行われた承認は、AIへ渡したメモだけでは確認できません。重要な決定はチャット履歴の有無だけに頼らず、必要な証跡と保存期間を職場のルールで確認します。
会議の議事録から決定事項とToDoを抜き出したい場合は、会議後の決定事項・ToDoを抜き出す方法が合います。
7. 今日できたこと
- 長いチャットから、必要な話題だけを選べた。
- 決定・未決定・担当候補を分けて見られた。
- AIに結論や担当を作らせず、「要確認」を残せた。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:話が長うなった日は、全部をきれいにまとめんでもええ。「決まった」「まだ」「確認する」を分けられたら、次の人が動きやすなるで。
やさしいAI仕事術