1. 今日の相談
「異動で新しい部署に行くことになりました。最初に自己紹介のあいさつをするんですけど、何を言えばいいか分からなくて。『精一杯がんばります』だけだと短すぎる気がするし、長く話すのも違う気がして。メールで送る場合も、堅すぎると距離があるし、くだけすぎても失礼かなって迷います」
入社、着任、異動、入職、担当変更。こういう節目の自己紹介やあいさつは、地味に悩みます。すごい経歴を書きたいわけではない。自分を大きく見せたいわけでもない。ただ、感じよく「これからよろしくお願いします」と伝えたい。
今日やるのは、立派な自己PRではありません。相手が安心して受け取れる、短いあいさつ文を作ることです。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。自己紹介は、自分を売り込む場やなくて、これから一緒にやっていく人へ「よろしくお願いします」を渡す場や。長くなくてええ。人柄が少し見えたら十分やで。
そうなんです。着任や自己紹介のあいさつに必要なのは、だいたいこの4つです。
- どこに来た人か
- これから何を担当するか
- ひとことだけ自分らしい気持ち
- 最後の「よろしくお願いします」
これだけで、ちゃんと形になります。経歴を全部並べる必要はありません。得意なことを盛る必要もありません。今日はこの4つをAIに渡して、短く感じのよいあいさつに整えてもらいます。
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … 立場や担当、伝えたい一言をもとに、着任・自己紹介のあいさつ文を整えてもらいます。
先に、職場が利用を認めたAI環境か、着任・異動情報を入力してよいかを確認します。実名をAさんへ変えるだけでは十分とは限りません。職場名、部署、役職、担当、着任日、送信先、未公表の異動、珍しい経歴等の組合せから、人や組織が分かる場合があります。
入力可否が明確でないときは、「社内向け」「新しい部署」「事務を担当」のような架空・一般化した条件だけで文型を作り、実際の氏名・部署・役職等はAI画面の外にある職場の文書で入れます。
4. 実際にやってみる
そのまま真似できる手順です。いきましょか。
ステップ1:必要なことを4つだけ書く
まず、次の4つをメモします。
- どこに着任したか
- 何を担当するか
- 伝えたい気持ちを一言
- どんな雰囲気にしたいか
たとえば「少しやわらかく」「短め」「社内向け」などです。実在する氏名、職場名、部署名、連絡先、未公表の異動、健康・家庭事情は書きません。情報を外すと文型を作れない場合は、AIを使わず職場のひな型や確認担当へ戻します。
ステップ2:ChatGPTに、このまま頼む
次の指示文を貼り付けて、ステップ1のメモを続けて貼ります。
次の内容で、着任・自己紹介のあいさつ文を作ってください。 長すぎず、感じのよい文章にしてください。 自分を大きく見せる表現や、盛りすぎた表現は避けてください。 最後に「これからよろしくお願いします」が自然に伝わる形にしてください。 書いていない経歴、資格、実績、役職、担当、開始日、約束は付け足さないでください。 以下はすべて架空・一般化した条件です。実在する情報を推測しないでください。
【立場】 (例:4月からA部署に着任)
【担当】 (例:B業務を担当)
【伝えたい気持ち】 (例:分からないことも多いが、少しずつ覚えていきたい)
【雰囲気】 (例:堅すぎず、でも丁寧に)
コツは「書いていない事実や約束を足さないで」と先に頼むことです。出力は文型の候補であり、そのまま送れる完成文ではありません。
ステップ3:最後の一文だけ、自分で直す
返ってきた文章を職場で承認された文書・メール画面へ移し、氏名、部署、役職、担当、着任日、送信先を正式な辞令・組織表・依頼内容と照合します。最後の一文も、自分が実際に言える言葉へ直します。
あいさつ文は、最後の一文にその人らしさが出ます。AIに整えてもらったあと、そこだけ自分で触ると、急に自分の文章になります。
ほー先輩:きれいな文章にするんはAIが得意や。でも、「よろしくお願いします」の温度は、あなたの言葉のほうが伝わるで。最後だけ、自分の口に合う形にしたらええ。
5. 完成例
実際にやってみると、こんなふうになります。(架空の内容です)
ビフォー(メモ)
4月からA部署に着任
B業務を担当
初めてのことも多い
早く慣れて、みなさんの力になりたい
堅すぎないけど丁寧に
アフター(ChatGPTが整えたあいさつ文)
4月よりA部署に着任し、B業務を担当することになりました。
初めてのことも多く、まだ分からないこともありますが、
一つひとつ覚えながら、少しでもみなさんのお役に立てるよう努めてまいります。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
これは架空条件で作った文型です。そのまま送信せず、実際の役職・担当・開始日と異なる箇所、未入力の抱負や約束が混ざっていないかを確認します。メールと口頭では相手・公開範囲・長さが異なるため、用途ごとに整えます。
場面別のあいさつ例(そのまま使えます)
[ ] の中を入れ替えてください。自己紹介で長く話す必要はありません。名前・担当・一言の3つで十分です。
① 社内へのメール(着任)
件名:着任のごあいさつ([部署名] [氏名])
[日付]付で[部署名]に着任いたしました[氏名]と申します。
[担当業務]を担当いたします。
[前職・前部署での経験があれば1行/なければ省略]
分からないことも多く、お聞きすることがあるかと思いますが、
一日も早くお役に立てるよう努めてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
② 口頭であいさつする(朝礼・ミーティング)
[日付]から[部署名]に配属になりました[氏名]です。
[担当業務]を担当します。
[一言:意気込みか、覚えたいこと]
分からないことはお聞きすると思いますが、
どうぞよろしくお願いいたします。
話すのは30秒で十分です。長い自己紹介は、聞くほうも覚えられません。
③ 社外の取引先へ(担当就任)
件名:担当就任のごあいさつ([自社名] [氏名])
[会社名] [担当者名]様
はじめてご連絡いたします。
[日付]より[前任者名]の後任として貴社を担当いたします、
[自社名]の[氏名]と申します。
[引き継いでいる案件があれば1行]
至らぬ点もあるかと存じますが、精一杯努めてまいります。
今後ともよろしくお願いいたします。
【連絡先】
メール:[アドレス]
電話:[電話番号]
④ パート・アルバイトの初日
本日から[働く場所・時間帯]でお世話になります[氏名]です。
[経験があれば一言/なければ「[仕事内容]は初めてですが」]
早く覚えられるよう頑張ります。
分からないことは聞かせていただきます。
よろしくお願いいたします。
⑤ 異動・退任するとき(去るあいさつ)
[日付]付で[異動先/退職]となりました[氏名]です。
[在籍期間]の間、大変お世話になりました。
[具体的に感謝している場面を1つ]
[後任者名]が[担当業務]を引き継ぎます。
今後ともよろしくお願いいたします。
具体的な場面を1つ挙げると、決まり文句にならず気持ちが伝わります。
⑥ 短い自己紹介(オンライン会議の冒頭など)
[自社名・部署名]の[氏名]です。
[担当している範囲]を担当しております。
本日はよろしくお願いいたします。
自己紹介・あいさつで気をつけたいこと
- 長すぎる— 30秒〜1分で足ります。詳しい経歴は聞かれてから
- 自分の私生活を詳しく— 家族構成や趣味は、場によっては不要です。相手や場に合わせます
- できないことを並べる— 「何も分かりません」は不安にさせます。「覚えていきます」で十分です
- 前職・前部署の批判— どんな軽口でも、聞いた人の印象に残ります
- できない約束— 「すぐに戦力になります」より「一つずつ覚えます」のほうが信用されます
- メールと口頭を同じ長さで— メールは読み返せますが、口頭は流れます。口頭はさらに短くします
取引先へ担当交代を知らせる場合は、担当変更・異動挨拶の例文のほうが場面に合います。
6. 送る前・話す前の確認
経歴、役職、担当、資格などの事実が正しいかを確認します。AIが、渡していない実績や抱負を足していたら削ります。
「必ず貢献します」「何でもできます」のような、約束できない表現も外します。相手との関係や場面に合う長さと調子へ直します。
最後の一文は、自分が実際に言える言葉へ戻します。文章の候補はAI、事実と最後の温度は自分です。
個人情報保護委員会は、生成AIへ個人情報を入力する際、利用目的の範囲、サービス提供者による取扱い、利用規約やプライバシーポリシー等を確認するよう注意喚起しています。名前を記号へ変えただけで入力可と決めません。
7. 今日できたこと
今日できたことを、言葉にしておきますね。
- 着任・自己紹介のあいさつ文を、事実確認できる形に整えた。
- 「立場・担当・気持ち・よろしく」の4つで書けると分かった。
- 盛りすぎず、等身大の言葉で伝える考え方を持てた。
最初のあいさつは、完璧でなくて大丈夫です。短くても、相手が安心して受け取れる言葉なら、それで十分です。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:最初の一言は、うまさより安心感やで。背伸びせんでもええ。「これからよろしくお願いします」がちゃんと届いたら、それでもうええあいさつや。今日もよう準備したな。
やさしいAI仕事術