1. 今日の相談
「小さな教室をやっています。問い合わせのメールって、実はほとんど同じなんです。『体験はできますか』『駐車場はありますか』『予約を変更したい』。なのに毎回、失礼がないかドキドキしながらゼロから書いて、10分15分かかってしまう。返信は大事にしたいけど、この時間、どうにかならないかなって」
問い合わせ返信の悩みは、お店・教室・事務所・どんな仕事にもあります。同じ分類の質問が繰り返される職場では、承認済みFAQを基に空の返信型を用意すると、確認項目をそろえられます。
今日は、実際のお客様のメールをAIへ渡さず、公開済み・承認済みFAQの分類または架空の分類から「空の返信型」を作ります。型は回答の正しさを保証しないため、送信前の照合を中心に進めます。
2. 大丈夫です
ほー先輩:大丈夫やで。AIに渡すのは、公開済み・承認済みFAQの分類か、架空の分類だけ。実際のお客さんのメールや要約は貼らへん。空欄は正式情報から埋めて、今回の質問と例外に合うかを人が見よな。
線引きを最初に。
- 実際の問い合わせ、抜粋、要約、添付、履歴をAIに貼りません。仮名へ変えても、事情や注文内容の組み合わせから相手が分かることがあります
- 分類は公開済み・承認済みFAQから選びます。未公開の苦情傾向、顧客事情、社内判断を分類名としてAIへ渡しません
- 料金・営業時間・予約ルールなどの事実はAIに書かせません。型は空欄にし、版と更新日が確認できる正式情報から人が転記します
- 送信前に、実際の質問、回答、例外、約束、日付、添付、宛先を毎回照合します。苦情、返金、契約、安全、健康、個人情報を含む相談は型の外として責任者へ戻します
3. 今日使うAI・道具
今日使うのは1つだけです。
- ChatGPT(無料で始められます) … よく来る質問の種類から、感じのよい返信の型を作ってもらいます。実際のメールやお客様の情報は入力しません。
仕事のメールで使ってよいか(職場がある方は承認された環境か)の確認も、いつもどおり。
4. 実際にやってみる
ステップ1:使ってよいFAQの範囲を確認する
架空の教室の公開FAQ分類
・体験レッスンはできるか
・駐車場はあるか
・営業時間を知りたい
実際のお客様のメールから分類を作るのではなく、公開済み・承認済みFAQの見出しか、完全な架空例を使います。予約変更、キャンセル、返金など個別条件で回答が変わるものは、責任者が型の対象にしてよいと決めた場合だけ含めます。
ステップ2:ChatGPTに、空の型づくりを頼む
固定の練習例「公民館の窓口によく来る質問(体験の有無・駐車場・営業時間)」を見本に、空の返信型を作ってください。 ①構成は「問い合わせへのお礼→質問の復唱欄→正式情報から入れる回答欄→例外・対象条件の確認欄→次の行動欄→問い合わせ先欄→締め」にしてください。 ②料金、時間、在庫、ルール、可否、期限、約束は書かず、( )の空欄にしてください。 ③入力にないサービス内容、例外、承認、予約確定、返金可否を推測しないでください。 ④苦情、返金、契約、安全、健康、個人情報を含む場合は、この型を使わず責任者へ確認する注意欄を付けてください。
「問い合わせ分類」の欄は空欄にし、実際の問い合わせ内容、顧客情報、料金、営業時間は入力しないでください。 各欄の末尾に「正式情報・責任者へ戻る」と添えてください。
ステップ3:空欄の出典欄を付け、承認を受けて保存する
- ( )の中身は、料金表、営業時間の掲示、承認済みFAQ、予約規程などの正式情報から書き写します
- 各型に「出典」「版・更新日」「承認者」「型の見直し日」を付けます
- AIの出力をそのまま定型文として配布せず、担当者と責任者が対象範囲、例外、問い合わせ先を確認して保存します
ステップ4:実際の問い合わせと一項目ずつ照合する
実際の問い合わせは、顧客対応システムや正式なメール画面から出しません。そこで質問を読み、型が対象にしている分類と本当に一致するかを人が判断します。複数の質問がある場合は、すべてに答えているかを確認します。
料金・時間・対象条件・期限・次の行動は、型の保存時点から変わっていないか正式情報を見直します。すでに約束した内容、添付、過去の対応履歴、相手の個別事情も確認し、型と合わない部分は責任者へ戻します。
5. 完成例
架空の例で見てみましょう。「体験レッスンはできますか」への型はこんな形です。
アフター(ChatGPTが作った返信の型・抜粋)
お問い合わせありがとうございます。
体験レッスンは( 曜日・時間帯 )にご用意しています。
料金は( )円で、持ち物は( )です。
はじめての方には( ひとこと:例=見学だけでも歓迎です )。
ご希望の日程がありましたら、お気軽にお知らせください。
これは架空例です。実際に使うときは、回答欄だけでなく、質問の復唱、対象条件、例外、次の行動、問い合わせ先を正式情報と照合します。過去に保存した型の内容が現在も正しいとは限りません。
場面別の返信例(そのまま使えます)
[ ] の中を、承認済みの情報に入れ替えてください。定型文でも相手の質問を一度復唱すると、機械的な印象がなくなります。
① すぐ答えられる質問
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
[質問内容]についてですが、[回答]です。
[補足があれば1行]
ご不明な点がございましたら、お気軽にお知らせください。
② 調べてから返す(一次返信)
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
[質問内容]につきまして、確認のうえご回答いたします。
[日付][時刻]までにご連絡いたします。
お待たせして申し訳ございませんが、少々お時間をいただけますと幸いです。
「確認します」だけで終えず、いつまでかを書きます。これがないと相手は待ち続けます。
③ 質問の意図が分からないとき
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
恐れ入りますが、より正確にご案内するため、
[確認したいこと]について教えていただけますでしょうか。
・[確認事項1]
・[確認事項2]
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
推測で答えない。間違った回答を出すより、聞くほうが早く解決します。
④ 対応できない・お断りする
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
[質問内容]につきましては、[理由:対応範囲外・条件を満たさない等]により、
承ることができかねます。
[代わりにできること/他の窓口/なければこの行は消す]
ご期待に沿えず申し訳ございません。
⑤ よくある質問(そのまま使える形にしておく)
【[質問]について】
[回答]
・[条件・例外があれば]
・[例外があれば]
詳しくは[案内ページ/窓口]をご覧ください。
FAQは例外を書いておくと、返信後の追加質問が減ります。
⑥ 返信が遅れてしまったとき
お問い合わせいただきながら、ご返信が遅くなり
誠に申し訳ございません。
[質問内容]についてですが、[回答]です。
お待たせしてしまい、重ねてお詫び申し上げます。
理由は書かなくて構いません。謝罪は1〜2行にして、回答を先に出します。
問い合わせ返信で気をつけたいこと
- 定型文をそのまま貼る— 相手の質問を1行復唱するだけで、印象が変わります
- 確認中の期限を書かない— 「確認します」だけだと、待つ側は不安です
- 推測で答える— 分からないことは聞くか、確認してから答えます
- 保存した定型文を見直さない— 料金・条件・営業時間は変わります。定期的に確認します
- 例外を書かない— 「ただし〜の場合は」を書かないと、二度目の問い合わせになります
- 社内の事情を書く(「担当者が不在で」)— 相手には関係のない情報です
- AIへ実際の問い合わせを貼る— 氏名・注文番号・相談内容は、承認された環境の外へ出しません
6. 使う前に確認したいこと
返信の型では、質問の復唱、回答、対象条件、例外、次の行動、問い合わせ先という毎回見る項目をそろえます。実際の質問に合わない箇所は使わず、料金や時間は正式情報から人が入れます。
守る線をもう一度。実際のメール、要約、添付、履歴はAIに貼らない。料金・時間などの事実は版を確認できる正式情報から転記。送る前は質問、例外、約束、添付、宛先まで照合する。苦情、返金、契約、安全、健康、個人情報を含む相談は型の外です。職場の責任者や定められた窓口へ戻します。
口頭でよく聞かれる質問の整理にはよくある質問への答え方、1通ずつの返信に悩むときは気が重いメール返信が使えます。対応が複数回にまたがるときは、問い合わせ対応の履歴メモに、回答・約束・未確認・次の対応を分けて残します。
7. 今日できたこと
- 公開済み・承認済みFAQの分類から、空の返信型を作れた。
- 実際のメールや要約をAIへ渡さず、事実を正式情報から転記できた。
- 質問、例外、約束、添付、宛先を毎回照合する手順を持てた。
型があると確認項目はそろえられますが、今回の問い合わせに合うかを決めるのは人です。
8. ほー先輩の一言
ほー先輩:型は答えを決めるもんやなく、確かめる所をそろえる道具や。今回の質問と正式情報を見て、合わん所は無理に使わんと責任者へ戻そな。
やさしいAI仕事術